センターについて

東京大学生産技術研究所附属都市基盤安全工学国際研究センター(ICUS: International Center for Urban Safety Engineering)は、大学の研究機関として、国際的な視野から自然災害の軽減を目的に設立された国際災害軽減工学研究センター(INCEDE:1991年~2000年)の研究分野を、自然災害の軽減から都市基盤施設の整備と維持管理を含めた安全工学の研究に拡大し、2001年に改組・設立された時限付研究センター(当初の設置期間10年)です。外部評価を受けた上で、2009年と2015年に2回の設置期間の延長(トータル10年)を行い20年間にわたって活動をしてまいりました。

ICUSは設立以来、都市の安全性を向上させる「先端研究の推進」、「ネットワークの形成」、「情報収集と配信」を活動の根幹として様々な活動を展開してきました。研究部門としては、①災害安全社会実現学部門(旧都市防災安全工学分野)、②成熟社会基盤適応学部門(旧サステナブル・エンジニアリング分野)、③国土環境安全情報学部門(旧都市情報ダイナミクス分野)の3部門を有し、生産技術研究所で蓄積された研究成果を融合することによって、21世紀の安全で快適な都市システムの実現に向けて活発な研究活動を行ってきました。具体的には「災害安全社会実現学部門」では、各種のハザードから人々が豊かで安全に暮らす都市環境を実現し継続するための課題の抽出と解決策を提案、「成熟社会基盤適応学部門」では、成熟した社会基盤施設整備の先に訪れる危機(衰退・滅亡)から、人々の豊かな生活を守り抜くための課題の抽出と解決策を提案、「国土環境安全情報学部門」では、頻発する異常気象に見られるような気候変動下の世界において、各種の広域ハザードの影響を軽減し、人々が豊かな自然環境を享受しながら共生する国土環境を実現し、持続させるための課題の抽出と解決策を提案してきました。また、分野を横断する総合的な研究活動にも力を入れてきました。

さらに、タイ(アジア工科大学院(AIT)内・RNUS(Regional Network Office for Urban Safety))とバングラデシュ(バングラデシュ工科大学(BUET)内・BNUS(Bangladesh Network Office for Urban Safety))に海外拠点を設置して、日本国内のみならずアジア諸国で、当該分野の研究センターとして名前の知られる存在となりました。

しかし、東京大学生産技術研究所の付属研究センターの運営規則から、2021年3月以降の時限の延長はできないため、これまでに培ってきたネットワークと活動を踏まえ、主として防災に関わる部分(災害安全社会実現学部門)は「災害・復興知連携研究機構」(機構長・目黒公郎教授)に、社会基盤インフラや国土情報(成熟社会基盤適応学と国土環境安全情報学部門)に関わる部分は「One Health One World 連携研究機構」(機構長・竹内渉教授)として展開していきます。今後も皆様のご理解とご協力を賜りますよう、宜しくお願いいたします。